この記事では令和6年度報酬改定により変更となった、児童発達支援・放課後等デイサービスにおける延長支援加算の算定要件や、個別支援計画に定める際の注意点を解説しています。
個別支援計画の基本については下記をご確認ください。
令和6年度報酬改定対応!個別支援計画(5領域や本人支援等)の記入例や注意点を解説
児発・放デイの基本報酬と支援時間を個別支援計画に定める際の注意点を分かりやすく解説
延長支援加算の概要
児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、延長支援加算の要件が変更となりました。
今までは、事業所の営業時間が8時間以上であり、営業時間の前後において、サービス提供していることなどの要件でした。
令和6年度報酬改定により、基本報酬における最長の時間区分に対応した時間の発達支援に加えて、当該支援の前後に預かりニーズに対応した支援を計画的に行った場合に算定できます。
※重心事業所や、共生型事業所においては、従来の要件となります。
ただし、当該時間帯の体制については、職員2名以上(うち1名は人員基準により置くべき職員)と変更になりました。
加算単位数
対象者/時間 | 1時間以上2時間未満 | 2時間以上3時間未満 | ※30分以上1時間未満 |
下記以外の障害児 | 92単位/日 | 123単位/日 | 61単位/日 |
医療的ケア児 重症心身障害児 | 192単位/日 | 256単位/日 | 128単位/日 |
※【30分以上1時間未満】は、計画では1時間以上の延長予定であったが、利用者の都合等で延長時間が計画よりも短くなった場合に限り算定可能となります。
※延長支援時間に送迎時間は含まれませんのでご注意ください。
延長支援加算を算定するには?
①運営規程に定められている営業時間が6時間以上であること(放デイの平日は除く)
②支援時間が5時間(放デイの平日は3時間)以上利用の児童であること
③計画に定めている支援時間の前後に、個別支援計画に位置付けて(支援が必要な理由や延長支援時間など)延長支援(1時間以上)を行うこと
④ 延長支援を行う時間帯に職員を2人以上配置していること
※うち1以上は基準により置くべき職員(児発管含む)とすること。医療的ケア児の場合には看護職員等を配置すること)
⑤実際に要した延長支援時間をサービス提供記録等に記録すること
要件の詳細
①運営規程に定められている営業時間が6時間以上であること(放デイ平日は除く)について
放課後等デイサービスに学校休業日を除いて、6時間以上(6時間丁度でも可)の営業時間である事が必要になります。
②支援時間が5時間(放デイの平日は3時間)以上利用の児童であることについて
放課後等デイサービスの平日(授業終了後)は3時間
放課後等デイサービスの学校休業日、児童発達支援は5時間以上の支援時間である必要があります。
ですので、例えば放デイの平日の計画時間は2時間の場合で、保護者の都合で1時間延長支援を行い合計3時間の支援を行った場合では算定できません。
あくまで基本の時間が5時間(放デイ平日は3時間)の場合で、その時間を超えた場合に算定できます。
③計画に定めている支援時間の前後に、個別支援計画に位置付けて(支援が必要な理由や延長支援時間など)延長支援(1時間以上)を行うことについて
計画に定める支援時間が、10時~15時である場合において「9時~10時」や「15時~16時」などの延長支援を行う必要があります。
※支援時間の前か、後ろのどちらかだけでも算定可能です。前後どちらも行う場合は、前後の時間を合計した時間数で算定します。
※前後で延長支援を行う場合は、前後どちらも1時間以上の計画である必要があります。
個別支援計画には、※支援が必要な理由や、延長支援時間を定める必要があります。
(※保護者の就労、妊娠・出産、病気・負傷、介護・看護、レスパイト等、延長支援を必要とする理由)
普段は延長支援が必要ない場合でも、保育所や学校の都合(短縮授業等)で延長支援が必要となる場合は想定される具体的な理由と必要となる時間を記入しておく必要があります。
計画にて予定していた日以外に緊急的に生じた預かりニーズに対応するために延長支援を実施した場合にも算定が可能ですが、当該理由及び延長支援時間をサービス提供記録等に記録してください。
また、急な延長支援が継続する場合には、速やかに個別支援計画の見直しを行ってください。
④ 延長支援を行う時間帯に職員を2人以上配置していること
※うち1以上は基準により置くべき職員(児発管含む)とすること。医療的ケア児の場合には看護職員等を配置すること)について
延長支援時間においては、職員を2名以上を配置する必要があります。
2名のうち1名は、人員基準により置くべき職員(児童発達支援管理責任者を含む)を配置してください。
「児発管とその他の従業者」や、「児童指導員とその他の従業者」、「児童指導員と児発管」などの組み合わせでも可能です。
⑤実際に要した延長支援時間をサービス提供記録等に記録することについて
報酬改定により、基本報酬については原則計画時間で算定する事になりましたが、延長支援加算においては実際の延長支援時間に応じて算定してください。
例えば、基本支援時間が「10時~15時」で「15時~17時」の2時間の延長支援を計画している場合に、利用者等の都合で「15時~16時30分」までの支援になった場合は、計画の「2時間以上」の区分ではなく、「1時間以上2時間未満」の区分での算定となります。
算定時の注意点
延長支援が1時間に満たない場合
延長支援加算の算定には、原則1時間以上の支援が必要となるので、1時間未満の延長支援計画では算定できません。
1時間以上の計画で利用者都合等により1時間未満になった場合には、「30分以上1時間未満」の区分で算定可能です。
※30分以上の延長は必須
延長支援時間が計画より長くなった場合
上記で延長支援時間は、実際の時間で算定すると解説しましたが、
実際の延長支援時間が計画に定める時間より長くなった場合は、計画に定める時間でしか算定できません。
前後に延長支援を行う場合で、前の延長時間が1時間に満たない場合
例えば、支援時間が「10時~15時」、延長支援時間が「9時~10時」、「15時~16時半」の合計2時間30分の場合
利用者の都合で「9時半~10時」、「15時~16時30分」の延長支援となった場合でも、合わせて2時間となるので「2時間以上」の区分が算定可能です。
また、「9時半~10時」、「15時~15時半」など、前後ともに計画より短い延長支援(30分ずつ)となった場合においても合わせて1時間となりますので「1時間以上2時間未満」の区分で算定可能です。
※前後共に1時間以上の計画である場合に、実際は前15分、後ろ15分の延長支援になった場合でも、合わせて30分以上の支援となるときは「30分以上1時間未満」の区分で算定可能です。
基本支援時間の開始が遅れた場合
例えば、放デイ平日において、支援時間「14時~17時」、延長支援時間「17時~18時」の場合に
利用者都合で支援開始が15時からになった場合であっても、基本報酬における算定は事業所都合である場合を除いて計画時間で算定することになるため、基本報酬の「1時間半超~3時間以下」の区分で算定可能となり、延長支援加算も計画通り「1時間以上2時間未満」で算定する事が可能です。
よくある質問
【質問】
支援開始前に延長支援を行うことを個別支援計画に位置付けていたが、当該延長支援の途中で利用者都合により帰宅した場合(例:9:00~11:00 を延長支援時間、11:00~17:00 を支援時間としていたが、10:45 に体調不良で急遽帰宅した)、どのように報酬を算定すればいいですか?
【回答】
延長支援加算は、基本報酬が算定される支援が行われたことを前提にその支援時間(5時間(放デイ平日は3時間))を超える延長支援時間を評価するものであるため、基本報酬を算定できない場合に延長支援加算のみを算定することはできません。
ただし、その場合においては欠席時対応加算の算定が可能となります。
【質問】
営業時間外に延長支援を実施する場合でも算定可能ですか?
【回答】
可能です。ただし、職員の2名以上の配置は守るようにしてください。
まとめ
延長支援加算は、状況による算定方法が複雑になっておりますが、きちんと要件を確認して算定が可能な場合は積極的に算定しましょう。
状況に応じた算定の為の簡易表を下記を記載いたしますので、ご確認ください。
状況 | 算定区分/可否 | 備考 |
計画に定めの無い、緊急的な預かりニーズへの対応 | 実際の延長支援時間区分 | 理由と時間を記録に残すこと 継続する場合は計画の見直しが必要 |
計画より短くなった場合 | 実際の延長支援時間区分 | 前後合わせて30分未満は算定不可 |
計画より長くなった場合 | 計画に定めた時間区分 | ー |
基本支援時間が短くなった場合で延長支援は計画通り | 計画に定めた時間区分 | 事業所都合で短くなった場合は算定不可 |
基本支援前の延長支援中に体調不良等で帰宅した場合 | 算定不可 | 欠席時対応加算を算定可 |
前後に各1時間ずつ以上、延長計画している場合で 利用者都合で延長時間が短くなった場合 | 前後を合わせた実際の延長支援時間区分 | 前後合わせて30分未満は算定不可 |
個別支援計画の基本については下記をご確認ください。
令和6年度報酬改定対応!個別支援計画(5領域や本人支援等)の記入例や注意点を解説
児発・放デイの基本報酬と支援時間を個別支援計画に定める際の注意点を分かりやすく解説
当センターでは、児童発達支援・放課後等デイサービス事業者の支援を行っております。
加算の算定により記録や事務作業等が増えてくるかと思いますが、当センターでは無駄を極力減らし、適正かつ効率的な運営の支援が可能です。
事務処理や報酬改定の対応に追われている事業所様や、各種加算の算定を検討されている場合は一度当センターまでご相談ください。
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