児童発達支援・放課後等デイサービスにおける家族支援加算と子育てサポート加算の要件や注意点を解説します。

家族支援加算とは

令和6年度報酬改定により、従来の家庭連携加算と事業所内相談支援加算が見直し、統合され新設された加算です。

家族支援加算とは、障害児の家族(きょうだいを含む。)等に対して個別に訪問し、相談援助を行った場合。

もしくは、事業所等での対面やオンラインで個別・グループにより相談援助等を行った場合に算定できます。

※あらかじめ保護者の同意を得た上で個別支援計画への位置づけが必要です。

個別支援計画への位置付け記載例はコチラの記事でご確認ください。

加算単位数

家族支援加算(Ⅰ)個別 月4回を限度

(1)居宅を訪問して個別に相談援助を行った場合

所要時間1時間以上・・・300単位/回

所要時間1時間未満・・・200単位/回

※30分未満の場合は原則不可。但し、短時間でも相談援助を行う必要がある場合や、事前の計画では30分以上の予定であったが家族側の事情により30分未満の相談援助となった場合は算定できます。

その場合は指定権者に必ず確認を行ってください。

(2)事業所等で対面にて相談援助を行った場合

100単位/回 

※30分未満の場合は算定不可

保育所や学校等、居宅や事業所以外の場所で「個別に対面」で相談援助を行った場合には、「事業所等で対面 100単位/回」の算定となります。

(3)オンラインにて相談援助を行った場合

80単位/回

※30分未満の場合は算定不可

原則、カメラ付きの機器等を使用し、障害児や家族の表情等、相談援助中の様子が把握できる状況で実施してください。

保護者の通信環境等により、やむを得ない場合には電話等でも大丈夫ですが、その場合にあっても当該状況を計画に記しておく、指定権者に相談するなどの対応を検討してくだい。

家族支援加算(Ⅱ)グループ 月4回を限度

(2)事業所等で対面にてグループでの相談援助を行った場合

80単位/回 

※30分未満の場合は算定不可

(3)オンラインにてグループでの相談援助を行った場合

60単位/回

※30分未満の場合は算定不可

原則、カメラ付きの機器等を使用し、障害児や家族の表情等、相談援助中の様子が把握できる状況で実施してください。

保護者の通信環境等により、やむを得ない場合には電話等でも大丈夫ですが、その場合にあっても当該状況を計画に記しておく、指定権者に相談するなどの対応を検討してくだい。

算定要件と注意点

①あらかじめ保護者の同意を得た上で、個別支援計画に位置付けて支援を行うこと。

※突発的に生じる相談援助(例えば、家族等からの電話に対応する場合)は対象となりませんのでご注意ください。

個別支援計画への記載方法が分からない場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

相談援助を行った日時、担当者、相談内容の要点に関する記録を行うこと。

当センターでは、家族支援加算および子育てサポート加算の記録様式を準備しております。
様式でお困りの事業所様は一度お問い合わせください。

注意点

  • 個別支援計画作成等のモニタリング時の面談では本加算は算定できません。
  • 本加算は、児童の利用日以外においても実施した場合は算定できますが、利用のない月は算定できません。

また、利用児童が不在の中でも相談援助を行った場合は算定可能ですが、相談の内容に応じて、障害児の状態等の確認が必要な場合には同席の下で行うなど、効果的な相談援助となるよう努めてください。

利用日以外に相談援助を行う場合、児童は他事業所を利用している場合でも同日に家族支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定が可能です。

  • きょうだいで利用している場合には、本加算はそれぞれのきょうだいにつき月4回ずつ算定可能です。
  • グループでの相談援助については2世帯から最大8世帯までを1組として行ってください。
  • 家族支援加算(Ⅰ)個別、家族支援加算(Ⅱ)グループともに同一日はそれぞれ1回づつしか算定できません。
    (同じ日に個別訪問と個別オンラインで実施した場合は、どちらかのみ算定できます)
  • 家族支援加算(Ⅰ)個別と、家族支援加算(Ⅱ)グループは同一日に算定可能です。
    (同じ日に、事業所内で個別に相談援助、グループにてオンラインで相談援助を行った場合は、100単位と60単位を同一日に算定可能です。)
  • 保育所等訪問事業と多機能型の場合は、当該児童については通算して月4回づつとなりますのでご注意ください。
  • 子育てサポート加算と家族支援加算は、同一日に算定することはできますが、時間や内容が重なる場合は併算定はできません。

  • 家族支援を実施して加算を算定する場合は、支援の開始時間と終了時間を実績記録票の備考欄に記入してください。

よくある質問

【質問】

家族支援加算を行う職員に資格や役職の制限はありますか?

【回答】

特に決まりはありませんが、趣旨を鑑みて適切に家族支援を実施できる方が実施してください。

また、児発管や児童指導員などを中心に、事業所としてフォローできる体制をとりながら支援を進めてください。

【質問】

グループの支援において、ペアレントトレーニングの一環として、講師を招いて講座を行う場合や、保護者会を行う場合に、算定できますか?

【回答】

算定可能です。ただし、その場合であっても事業所の従業者がファシリテーターなどとして参画し、相談援助を行うことが必要です。
相談援助が行われない場合や、事業所の従業者が介在しない支援については算定できません。

【質問】

同じ日に2つ以上の事業所において、家族支援加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の算定に係る相談援助を行った場合はどうなりますか?

【回答】

同日に複数の事業所で相談援助を受けている場合においても、基本要件を満たせば(Ⅰ)(Ⅱ)ともに問題なく算定可能です。

【質問】

児童が支援を受けている時間帯に、基準の人員として配置されている児童指導員又は保育士により、家族支援加算(Ⅰ)又は家族支援加算(Ⅱ)の算定に係る相談援助等を行うことは可能ですか?

【回答】

相談援助を行う者については、支援の単位ごとに必要な児童指導員又は保育士には含むことができません。

ですので、一般的な児発放デイ(定員10名)の場合は支援時間を通じて2名の配置が求められておりますので、相談援助を行う職員以外で2名を配置する必要があります。児発管や基準人員以外の専門職員が相談援助を行うことは問題ございませんので、状況に応じて検討してください。

子育てサポート加算

家族の障害特性への理解と養育力の向上につなげる観点から、家族が支援場面等を通じて、こどもの特性や、特性を踏まえたこどもへの関わり方等を学ぶことができる機会を提供するために新設された加算です。

加算単位数と概要

子育てサポート加算 80単位/回 月4回まで

保護者に支援場面の観察や参加等の機会を提供した上で、こどもの特性や、特性を踏まえたこどもへの関わり方等に関して相談援助等を行った場合

子育てサポート加算の算定要件

①あらかじめ保護者の同意を得た上で、個別支援計画に位置付けて、従業者が計画的に実施すること

個別支援計画への記載方法が分からない場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

②支援を提供する時間帯を通じて、家族等が直接支援場面の観察や参加等をしていること。

※児童の状態等から、家族等が直接支援場面に同席することが難しい場合には、マジックミラー越しやモニターでの視聴により、支援場面の観察でも可能。

その場合は、児童に支援を提供する従業者とは異なる従業者(児発管でも可)が相談援助等を行っても算定可能。

※原則、支援時間を通じて参加する必要があります。

ただし、支援時間が長時間になる場合は保護者と事前に調整し、計画的に実施することで支援の一部時間のみで算定できます。

その場合は個別支援計画の留意事項等に時間帯や観察参加の活動を明記する事をオススメします。

③児童及び家族ごとの状態を踏まえて個別に児童の状況や支援内容に関する説明と相談援助を行うこと。

※支援を行う従業者による一方的な説明や指示、複数の児童及び家族等に対する一斉指示、家族等へ障害児に対して行った支援内容を報告するのみでは本加算の趣旨に反して不適切となりますのでご注意ください。

複数の世帯に対してあわせて支援を行う場合には、それぞれの児童及び家族ごとの状態に応じた支援が可能な体制を確保して実施してください。

※複数の世帯に対して相談援助を行う場合には、従業者1人につき最大5世帯程度までとしてください。

※マジックミラーやモニター越しで観察する場合には、支援と同時並行的に相談援助を行う必要があり、支援終了後にまとめて相談援助をすることは認められません。

④支援を実施した場合は、機会の提供及び相談援助を行った日時、担当者、内容の要点に関する記録を作成すること。

当センターでは、家族支援加算および子育てサポート加算の記録様式を準備しております。
その他、専門的支援実施計画書や実施記録などの様式でお困りの事業所様は一度お問い合わせください。

よくある質問

【質問】

子育てサポート加算と家族支援加算は同じ日に算定できますか?

【回答】

算定可能ですが、子育てサポート加算を算定する時間帯に行う相談援助については、家族支援加算は算定できません。

ですので、子育てサポートとは重ならない時間、内容で家族支援を行った場合は、同日に併算定できます。

【質問】

兄弟で同じ事業所を利用しており、同日に同一の場で支援を実施した場合はそれぞれ算定可能ですか?

【回答】

算定可能です。

ただし、相談援助を行う保護者は一人であったとしても、兄弟児それぞれの特性や、特性を踏まえた関わり方等について相談援助を行う必要があります。

まとめ

家族支援加算や子育てサポート加算は、障害特性の理解や家族の心の安定のために効果的なものになりますので、保護者が希望される場合は積極的に実施することをおすすめします。

両加算ともに、個別支援計画への位置づけと、記録の保管は必ず行うようにして下さい。

個別支援計画への位置付け記載例はコチラの記事でご確認ください。

加算の算定により記録や事務作業等が増えてくるかと思いますが、当センターでは無駄を極力減らし、適正かつ効率的な運営の支援が可能です。

事務処理や報酬改定の対応に追われている事業所様や、各種加算の算定を検討されている場合は一度当センターまでご相談ください。
加算届の作成方法や必要書類、要件のご相談なども、お電話もしくはお問い合わせフォームよりご連絡ください。

参照資料 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について|こども家庭庁