児童発達支援・放課後等デイサービスにおける事業所間連携加算の要件・注意点を解説します。
事業所間連携加算の対象児童
相談支援事業所を利用していないセルフプランの児童で、複数の児発・放デイ事業所を利用している児童が対象です。
事業所間連携加算とは
令和6年度報酬改定で新設された加算になります。
障害児支援の適切なコーディネートを進める観点から、セルフプランで複数事業所を併用する障害児について、利用する事業所間で連携し、こどもの状態や支援状況の共有等の情報連携を行った場合に算定するものとなります。
事業所間連携加算の概要と単位数
事業所間連携加算(Ⅰ)500単位/回(月1回まで)
コーディネートの中核となる事業所として、会議を開催する等により事業所間の情報連携を行うとともに、家族への助言援助や自治体との情報連携等を行った場合。
事業所間連携加算(Ⅱ)150単位/回(月1回まで)
事業所間連携加算(Ⅰ)の会議に参画する等、事業所間の情報連携を行い、その情報を事業所内で共有するとともに、必要に応じて個別支援計画の見直しを行うなどにより支援に反映させた場合。
コア事業所にはどのような事業所が選ばれるのか
基本的には市町村が、保護者の意向を確認しつつ、保護者との信頼関係が構築されている事業所や、関係機関との連携を円滑に行うことができると認められる事業所が市町村から依頼されます。
具体的には、中核機能強化(事業所)加算を算定している事業所や、上限管理を行っている事業所などがあげられますが、保護者の意向や事業所の受任状況などによって、個別に決まります。
事業所側がコア事業所の依頼を断ることも可能ではありますが、特別な事情がない限りは引き受けるようにしましょう。
算定要件
事業所間連携加算(Ⅰ)
➀市町村から、対象児童の支援について、適切なコーディネートを進める中核となるコア連携事業所として、事業所間の連携を実施するよう依頼を受けた事業所であること
②コア連携事業所として、あらかじめ保護者の同意を得た上で、対象児童が利用する他の事業所との間で会議を開催し、情報共有及び連携を図ること
※会議の内容は、支援の実施状況、心身の状況、生活環境等の情報、個別支援計画の共有などの、支援の連携を目的とした会議とすること。
下記の内容を参考にしてください。
・セルフプラン
・ 各事業所の個別支援計画を踏まえた加算対象児に係る支援の実施状況
・ 対象児童の心身の状況
・ 対象児童の生活環境等の情報
・ 家族の状況
・ その他関係機関との連携状況
・ 事業所間で必要な連携及び連携方法
・ 事業所間連携会議の次期開催の目安となる時期 等
③会議の内容及び整理された児童の状況や支援に関する要点について、記録を行うとともに、他の事業所、市町村、保護者に共有すること
記録の内容は下記を参考にしてください。
・ 開催日時
・ 参加者(不参加の事業所がある場合には、当該事業所名と会議前後の連携の有無)
・ 対象児童の状況の要点
・ 対象児童に関する支援の要点
・ 事業所間で必要な連携及び連携方法
・ 事業所間連携会議の次期開催の目安となる時期
・ その他(例えば、生活上の課題、保護者の状況など)
④市町村に対しては③に加えて、対象児童が利用する各事業所の個別支援計画を共有し、当該児童及び保護者の状況等を踏まえて、急ぎの障害児相談支援の利用の必要性の要否について報告すること
⑤保護者に対して、会議で整理された情報を踏まえた相談援助を行うこと
※相談援助を行う場合は家族支援加算を算定することができます。
⑥自事業所の従業者に情報共有を行い、当該情報を踏まえた支援を行うとともに、必要に応じて個別支援計画を見直すこと
注意点
会議は、テレビ電話等を活用した開催でも可能です。
また、会議は対象児童が利用する全ての事業所が出席することを基本ですが、やむを得ず欠席が生じる場合にも、加算の算定は可能です。
その場合は欠席する事業所と事前及び事後に、対象児童や会議に関する情報共有及び連絡調整を行ってください。
対象児が利用する事業所が全て同一法人の事業所の場合は算定できません。
ただし、他法人の事業所が1つでも入っている場合には、同一法人の事業所それぞれ本加算を算定できます。
会議の頻度は、概ね6ヵ月に1回以上実施することが望ましいとされております。
また、コア連携事業所において、対象児童の変化が著しい場合などで、会議の頻度を高める必要があると判断した場合は、適切なタイミングで実施してください。
事業所間連携加算(Ⅱ)
➀中核的コーディネートを行うコア事業所ではないこと
※コア事業所は事業所間連携加算(Ⅰ)の算定要件を確認してください。
②コア連携事業所が開催する会議に参加し、必要な情報共有及び連携を行うとともに、個別支援計画をコア連携事業所に共有すること
③コア連携事業所が開催する会議にて、整理・共有された情報を自事業所の従業者に情報共有を行い、当該情報を踏まえた支援を行うこと
注意点
※会議への参加が基本ですが、やむを得ず出席できない場合でも、会議の前後にコア連携事業所と情報共有等を行い、個別支援計画の共有を行った場合は、加算の算定ができます。
会議後に共有された情報により、個別支援計画の見直しが必要な場合は個別支援計画の更新を行いましょう。
コア事業所が同一法人の場合で、他法人の事業所が関与していない場合は本加算を算定できませんのでご注意ください。
まとめ
本加算は、セルフプラン率が低い自治体ではほとんど算定されませんが、コア事業所に指定された場合や、コア事業所から会議への参加を求められた場合には積極的に他事業所と連携しましょう。
事業所においてセルフプランで複数事業所を利用している児童がいる場合で、連携が行われていない場合には、保護者や自治体に確認してみることも良いかと思います。
関係機関連携加算の解説もあわせてご確認ください。。
【令和6年度報酬改定】関係機関連携加算の要件・注意点を分かりやすく解説
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